平成27年に相続税の基礎控除が改正されました。改正前の基礎控除は、「5,000万円プラス法定相続人一人当たり1,000万円」でしたが、改正後は「3,000万円プラス法定相続人一人当たり600万円」となり、実質的な増税となりました。
それにより相続税課税対象の被相続人の数は、改正前が年間5~5.6万人だったのに対し、改正後11~11.5万人に増加しました。より多くの人が課税対象となる中、相続税を払いすぎていたという事例も多く出ています。今回は相続税の還付制度についてお話します。
■相続税の申告とは
まず相続税は、相続発生後10ヶ月以内に申告と納税をしなければなりません。納税は原則現金一括での支払いです。遺言書がある場合は、遺言の内容にしたがって遺産分割し、申告納税します。遺言書がない場合は、相続人全員の参加と話し合いで遺産の分割方法(遺産分割協議)を決めて申告納税します。10ヶ月の猶予期間があるとは言え、相続人の一人が海外在住だったり、そもそも疎遠であったりするとあっと言う間に期限が来てしまい、深く考える間もなく申告納税するというケースも見受けられたりします。
■相続財産の評価について
相続税を申告する場合において、相続税は性質上、所得税や法人税などと比べて大きく異なる点があります。それは、申告する納税者側で相続財産を評価しなければならないという点です。相続税は、被相続人の財産を相続人側が評価し、それを基に税額を計算して納税します。高い評価で申告した場合、税務署からは何も言われません。しかし低い評価で申告した場合は、税務署から指摘が入る事があります。相続税の申告は自己責任が大前提ですので、例えば本来であればもっと低く評価できたものを、みすみす高く評価して相続税を払い過ぎたとしても、税務署は何も教えてくれないということです。
■相続申告後の最後の節税対策「還付制度」
高額な相続税を支払って、苦い思いをされている方も居られるのではないでしょうか。もしかしたら
適正な相続税額よりも払い過ぎている場合もあります。こんな場合でも、被相続人が亡くなってから一定期間内であれば所定の手続きをすることで、払い過ぎた分を取り戻すことができます。これを相続税の「還付」と言い、還付を行なう際の手続きを、「更正の請求」と言います。
■「更正の請求」の要件は
「更正の請求」は、被相続人が亡くなってから5年10ヶ月以内に行わなければなりません。
「更正の請求」が出されると、税務署は必ず何らかの対応することになり、一般的に3ヶ月以内に何らかの処理がなされます。もし請求が却下された場合でも、税務署への異議申立や国税不服審判所への審査請求が可能です。相続開始から5年10ヶ月を経過すると、この被相続人の相続税の申告について一切何もできなくなります。
■相続税の還付がされる可能性が高いのはどんな人か
相続税を払い過ぎているケースとしては、例えば単純に相続税の計算が間違っていたとか、不動産(土地)の評価が適正でなかったとかが挙げられます。その他にも次の項目に複数当てはまるような方は、還付の可能性が高いと考えられます。
【還付の可能性が高いケース】
○相続税を1,000万円以上納税した
○相続財産のうち、3割以上が土地だった
○相続財産に1,000㎡(約300坪)以上の土地があった
○相続財産に市街化区域の農地・山林等があった
○相続財産に1,000万円以上の調整区域の雑種地があった
○評価する土地の現地調査、役所調査が十分ではなかった
○申告が期限ギリギリだった 等々
またここに載っていないケースでも、還付される場合があります。
いずれにしても、相続税還付ができるかどうか専門家に相談をしてみてください。相談する専門家は、不動産の評価について豊富な経験がある税理士が最適です。ただ、どの税理士が不動産評価に強いのか、皆さん判らないですよね。当相続サポートセンターでも、不動産評価に強い税理士のご紹介は可能です。
「更正の請求」の内容について詳しくお知りになりたい方は、お気軽にお問合せください。
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