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【想いをつなげる相続対策】どうする!?賃貸不動産の高齢化問題!オーナー様が直面する、建物の高齢化に伴なう様々な問題を考える

2022.08.25

不動産バブル時代に賃貸不動産を建築または購入され、不動産投資を始めたオーナー様も多いと思います。あれから30数年が経過し、当時40代だったオーナー様も70代となられています。それと同時に、所有されている不動産も築30数年経過していることになります。今回は、「賃貸不動産の高齢化」に焦点を当ててお話いたします。

■オーナー様ご自身の「高齢化」には相続対策

65歳のオーナー様の場合、平均寿命から見ると、あと20年は生きていることになります。亡くなると相続が発生しますが、それまでに節税対策、分割対策、納税対策といった相続対策を今から考えておかなければなりません。また現代社会において、認知症は避けて通れない問題です。相続対策のひとつとして、認知症対策も必要でしょう。オーナー様ご自身の高齢化問題は、必ず何らかの対策が必要になってきます。

■賃貸不動産の「高齢化」には事業承継対策

事業承継において、始めに「誰」に引き継がせるのかをオーナー様は考えられるでしょう。次に「何を」を引き継がせるかを考えます。ここまではお考えだと思います。しかしここから先がとても重要です。「どのように」引き継がせるのか、「どんな形」で引き継がせるのかを考えている方は少ないのではないでしょうか。まだ築浅の賃貸不動産であれば、上記の内容を考えた上で事業の引継ぎができるでしょう。しかし築30年以上経過している物件であれば、そもそも引き継がせた方がいいのかを判断する必要があります。賃貸不動産の「高齢化」は、事業承継対策のもっとも重要なポイントです。

築年数が経過、家賃収入が下がっているのに税金(所得税)が上がっている

新築から25年、家賃も少しずつ下がり、入居率も少しずつ悪くなり、年間の家賃収入は下がっています。しかし、税金(所得税)が上がっているオーナー様は多いのではないでしょうか。この原因は、二大経費の減少による課税所得の増加です。税金(所得税)がかかるのは、課税所得に対してです。課税所得とは、収入から各種の控除、事業にかかる経費を差し引いた残りの所得(儲け)のことを言います。賃貸事業における二大経費は、建物の減価償却費と借入金の利息です。建物の構造や借入期間にも寄りますが、築年数が経過してくるとこの二大経費が大幅に減少します。収入が少し下がっても、経費が大幅に減少しますので、課税所得が増加することになります。結果として税金(所得税)が上がっていきます。また課税所得の増加は、社会保険(国民健康保険料)も引き上げることになります。課税所得の増加を考えない事業承継は、賃貸不動産を引き継いだ後継者の予期せぬ税負担に繋がることもあります。

■築年数が経過していくと、当初の相続税対策の効果がほとんど無くなっている

相続対策のために、賃貸不動産を建築または購入されているオーナー様も多いと思います。賃貸事業が順調で20数年経過すると、当初想定していた相続税の節税効果はほとんど無くなっています。賃貸不動産の相続税の節税効果は、その評価が下がることにあります。現金2億円で賃貸不動産を購入した場合の相続税評価は概ね1億2,000万円程度(※購入不動産によって異なります)になります。つまり8,000万円分相続財産が減少することになります。相続税の税率30%のオーナー様であれば、2,400万円の相続税の節税効果があったことになります。しかし賃貸事業は収入があり、所得(儲け)が計上されていきます。この所得(儲け)の累計が、節税分を帳消しにしていきます。つまり当初の節税効果が無くなってくるということです。

「修繕しながら持ち続ける」「建替える」「売却する」の選択

高齢化した収益不動産の事業承継については、「修繕しながら持ち続ける」「取壊して建替える」「売却して現金化する」の三つの選択肢から選択せざる終えません。立地がよく修繕し続けることで高い入居率や家賃を維持できるような収益不動産であれば、相続で引き継がせることも良い選択でしょう。但し後継者が賃貸経営に関心がある、事業を行うのに適しているなどが条件になります。

また建替えを選択した場合は、新たな相続税対策がスタートすることになります。新築なので、一定期間高い入居率の維持が可能であり、修繕にかかる経費も少なくなります。引き継いだ後継者も、賃貸事業に取り組みやすくなります。但しこの場合、ある程度大きな資金が必要となります。

売却を選択した場合は、相続税評価の下がっている不動産を現金化することになり、相続税は一旦上がります。但し現金化すれば分割が容易になり、希望に沿った分割対策が行えます。また他に不動産がある場合など相続税の納税資金の準備対策として、現金を用意することが可能です。

いずれにしても、「オーナー様の高齢化」と合わせて、「賃貸不動産の高齢化」の対策は必須になります。どちらが先と言うことではなく、同時平行で考えていく必要があります。相続対策、事業承継対策とも一朝一夕でできるものではありません。「今」が一番早いスタートです。今から考えて始めてはいかがでしょうか。

日本エイジェントでは、毎月テーマに合わせた「相続対策セミナー」を開催しております。「相続」と聞くと、まだ早いと思われている方も、資産管理・資産承継という観点から「相続」について考えていきませんか?皆様のご参加、お待ちしております。

不動産相続

 

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芳野 裕志
株式会社日本エイジェント 資産運用事業部 相続コンサルティング室

芳野 裕志

相続対策や資産承継など、オーナー様ごとに熟考し、最適な方法を見つけてご提案させて頂ければ、資産運用の有効な方法になります。オーナー様と同じ方向を向いて考えていくことで、オーナー様やご家族にとって最適なご提案をすることが、私の仕事だと考えています。

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