ここ1~2年、不動産投資への融資を取り巻く環境は大きく変化しています。某金融機関の不正融資問題、某アパート建築会社の建築偽装などで不動産投資への金融機関の融資は、本当に厳しくなってきました。購入金額の全額融資は全くと言っていいほど通らず、自己資金の割合が2割とか3割も必要と言われています。そんな状況でも比較的融資が受けやすい人の属性について、お話したいと思います。
融資審査における属性とは、個人の年収はもちろん職業や勤続年数が上げられます。これ以外にも、他の借り入れ状況、保証人の背景となる家族構成、所有資産なども審査の対象となるとともに、人柄も見られています。
■金融機関から融資を受けやすい人の属性
具体的に、金融機関が事業用収益不動産に対して融資をしたい主な代表的属性は、下記の人と言われています。
①地主・資産家
所謂富裕層は一般的にキャッシュを持っていますし、担保となる不動産も所有しています。金融機関としては、安心して貸出できる相手になります。
②公務員
公務員の良いところは、職業の安定です。ほとんどリストラは無く、定年まで安定した収入が続き、退職金まで見通しが利くといった点では金融機関としてもリスクは少なくなるでしょう。
③士(師)業
士業で代表的な職業で言うと弁護士や医師、税理士・司法書士等になります。これらの職種は難関といわれる資格を活用して、健康であれば定年という概念が無く、一生涯収入を得ることが出来るので長期間の融資にもリスクが低く見られがちです。
④大手・中小企業勤務のサラリーマン
サラリーマンですが、勤務先によって年収の違いがあり、公務員ほどの安定感はないものの勤務年数や役職などを鑑み、また毎月決まった給与収入があるという意味で金融機関からみても安心材料になると思われます。
■不動産賃貸業の融資審査に通るためのポイント
また、全体に共通しているものとして、金融資産・保有不動産・既存借入・勤務先・年収・居住地・金融機関との取引実績などが関係してきます。不動産賃貸業における融資(事業用ローン・アパートローン)は住宅ローンとは異なり、審査基準は厳しいです。審査のハードルは高いのですが、審査に通る為に次の項目に当てはまるように努力をすれば道が開けてくるかもしれません。
①自己資金の比率
「少ない自己資金で不動産投資を始める!」というようなキャッチフレーズを見かけることもありますが、金融機関は実際には自己資金をどれだけ準備できているのかを重要視しています。購入予定の物件価格に対して自己資金の比率が高ければ高いほど融資を受けられる可能性が高まります。
②購入物件の収益性の高さ及び安定性
金融機関が対象不動産の担保力の審査をする際に、積算評価だけでなく収益性も重要な判断材料として見ています。収益性が高ければ担保力も高い評価が得られます。また安定的な入居率を確保できるかどうかも重要な要素になります。
③勤務先の年収の高さ及び安定性
金融機関の貸付金額は、年収の何倍というような目安になっています。つまり年収が高ければ高いほど借入の目安も高くなるとともに、その年収が毎年安定しているかも重要です。
④勤務先の属性
金融機関にとって、融資対象者が滞りなくきちんと返済してくれるかどうかは、もちろん重要な判断基準となります。勤務先の規模・事業内容・資本金・従業員数・売上高などの条件から判断しますので、経営が安定している企業に勤めている場合は審査に有利に動くと思われます。
不動産賃貸業を始めるためには、「属性」が金融機関の融資審査に大きな影響を与えるのは紛れもない事実です。しかし、某金融機関の不正融資事件などの影響で、融資自体が厳しくなって来ており、このような属性が単に高いだけでなく不動産賃貸業のスキルや経営者としての経験なども審査される傾向が強く、購入のハードルは以前よりも高くなってきています。
また、無事融資審査が通り購入できたとしても、黒字決算を続けていくことが非常に重要です。せっかく1棟目が購入できても、事業が赤字なら追加の融資は極めて厳しく、2棟目・3棟目の購入に繋がりません。経営者の自覚を持って、この事業を続ける覚悟で挑んで頂きたいと思います。
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